英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

渋滞への正しい対応策

The Economist 誌の8月25日号に渋滞に関する記事が載っています。8月10日号でも書かれていたテーマですが、今週号では Leaders で取り上げられています。

www.economist.com

 

曰く、Uber/Lyft などのライドシェアサービスへの規制( NY で採択された1年間の新規ライセンス凍結/ロンドン市長も同様のことを検討中)は渋滞解消に繋がらない。これは8月10日号から変わらないスタンスです。

 

ライドシェアサービスは消費者に恩恵をもたらす一方で都市での車台数を増加させている(ロンドンでは2013年から2016年までに66%増加)ため、都市中心部のラッシュアワーの渋滞増加( NY では20%増加)につながっているとされています。しかし、渋滞解消に効果があるのはライドシェアサービスへの規制ではなく渋滞税導入なので、既に導入しているロンドンやシンガポールを見習って NY も渋滞税を導入するべき、というのが The Economist 誌の主張です。

 

ロンドンでは既に導入しているものの、次の3つの理由により上手くいっていないのが現実です。①渋滞税がフラットであるためピーク時を避けるインセンティブがない。②自家用車よりもタクシーやライドシェアサービスへの課税が少ない。③環境に優しい自動車への免除規定がある。(他方、シンガポールでは車にセンサーが導入されており、時間と場所に応じた適切な渋滞税の徴税を可能としている)

 

日本で生活しているときには自動車に乗らかったのであまり実感を伴っていませんが、渋滞税導入しなければならないほどの車両数になっている都市では正しく制度設計することが非常に大切なのでしょう。日本では車よりも公共交通機関に渋滞税(混雑税)を導入するべきで、ラッシュアワーを避けるだけのインセンティブを持つ価格を設定することによって、企業がより柔軟性のある労働条件(フレックス制や在宅勤務)を提示あるいは活用することにもつながるのではないかなと思います。