英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

地球温暖化の問題に取り組むべきなのは?

7月6日付の The Economist 誌に Shell の取り組みに関する記事が載っています。

 

www.economist.com

 

同誌は石炭から天然ガスへの移行の際には汚さと汚れた服を冷たい水で洗濯しないといけないことがドライバーになったという Shell CEO のエピソードを紹介しながら、化石燃料からクリーンエネルギーへの移行の際には地球温暖化がドライバーになるはずだ、という論調で Shell の取り組みと実際の問題点について触れています。

 

Shell は他のオイルメジャーとは一線を画しており、特に向こう 30 年のクリーンエネルギーへの需要の高まりを察知して石油ではなくガスに投資し、役員報酬は排出量削減と連動するようにしています。とはいえ、株主の要求に応えるべく配当原資のレガシービジネスである石油/ケミカルを捨てることはありません。その言い訳として、社会全体で取り組むべき問題(生産者の Shell だけでなく、ガソリン車を生産する車メーカーや車を運転する消費者もそのコストを応分負担すべき)という認識が不足していること、さらには Shell のような民間以外の生産者の影響が大きすぎる点(国営石油会社から取り組むべき)に加えて、エネルギー需要は発展途上国の近代的な生活への需要に繋がっており、先進国が無視すべきではない、といった点を挙げており、かなりの説得力を持っているように思います。

 

このブログでも何度か取り上げていますが、これはステップバイステップで対処するべき問題です。なぜならば経済的な革新がない限りいきなり100%再生エネルギーという世界は来ないでしょう。それであれば、それまでの間は天然ガスで妥協しつつ、1日でも早く革新を待つ、という姿勢でいいのではないかと思います。