英国 The Economist 誌を読むブログ

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ニューヨーク、まさかの渋滞税導入ドタキャン

6 月 8 日号の The Economist 号からニューヨークが渋滞税の導入を中止したという記事を紹介します。

www.economist.com

曰く、ニューヨークが慢性的に抱える課題である交通渋滞の緩和への対応策として 15 ドルの渋滞税をマンハッタンの CBD に向かう車に課す政策を決定していたが、急転直下 6 月 5 日に民主党選出州知事が恒久停止を発表したとのこと。

 

ニューヨークの渋滞は年間200億ドルもの費用となっており渋滞緩和は喫緊の課題であることは間違いありません。また、税収は老朽化が進む地下鉄への設備投資に充てられる予定でした。多くの通勤者は電車通勤であり、1930 年代から変更されていない設備もあり、これらへの対応のため渋滞税は年間 10 億ドル規模の設備投資を可能とするスキームの筈。なぜドタキャンを選択したのでしょうか。

 

同誌は大統領選と同時に行われる下院や関連選挙を見据えて渋滞税による家計的負担が増えた有権者が現職である民主党から共和党に投票変更するのではないかという恐怖があるからと見ています。この恒久停止の影響はニューヨークだけでなく、ボストンやシカゴ、ロサンゼルスといった渋滞の厳しい都市にも及ぶと見られており、非常に残念な決定となってしまいました。