英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

新型コロナウィルス第二波

The Economist 誌の5月16日号に、新型コロナウィルスの第二波についての記事が載っていました。

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ピークを迎えた新型コロナウィルス感染拡大(第一波)は一旦落ち着きましたが、一方で再び感染拡大の可能性(第二波)があり、予断を許さない状況であることは変わりません。同誌曰く、震源になり得る場所は人々が行き交う場所になるとのこと。

 

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WHOにとっての難題

The Economist 誌の4月16日号に COVID-19 対応で批判の対象となっている世界保健機関(WHO)に関する記事が載っていました。

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WHOのテドロス事務局(元エチオピアの健康大臣)の対応を批判し米国トランプ大統領アメリカとしてWHOの拠出金を見直すことを発表したとのことで、それに対するある意味反論としての文章になっています。

 

個人的に重要だと思ったのは次の二点です。一点目、WHOは各国からのサポートがない限り動けないこと。二点目は各国の拠出金は同国でのプロジェクトに紐ついた形で提供されるためWHOとして自由に動かせるキャッシュは限られていること。どちらもWHOにとっての難題と言えるでしょう。

 

実際WHOのウェブサイトに行かれた方はお分かりだと思うのですが、彼らはかなり情報を精査し正しい形で報告していると思います。初期のころから、デイリーレポートは有用でしたし、Myth busters はとても面白かったです。ぜひチェックしてみてください。

 

www.who.int

 

MB_mosquito bite

ズームイン!された Zoom の頭痛

The Economist 誌の4月8日号に昨今の在宅勤務で脚光を浴びている Zoom に関する記事が載っていました。

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曰く、昨今の新型コロナウィルスの蔓延に伴う在宅勤務やリモート業務の増加に伴ってZoom の日次利用者は昨年12月の1000万人から2億人にまで増加し、同社の株価は約50%値上がりしています。

 

一方、Zoom はセキュリティの面で不安を抱えていることが分かり始めました。もともと Zoom は従来の企業向け企業と比べて「企業向けサービスであっても消費者向けサービスと同じレベルの使いやすさでなければならない」と考えているためセキュリティ対策への注力は曖昧でありました。この結果、データの漏洩や中途半端な暗号化、中には zoombombing と呼ばれる子どもじみたハッキング(他者のオンライン会議に侵入して画面にポルノ映像を流すなどの荒らし行為)に悩まされているとのこと。

 

同社は対応を約束していますが、Zoom や Slack といった特化型のサービスを提供する企業と、MicrosoftGoogle といったそのようなサービスをパッケージで提供する企業の戦いの最中で浮上したセキュリティの問題は、サービスの精度で劣る後者に乗り換えてしまう気配を感じさせてしまい、スタートアップにとっては大いなる悩みの種になってしまっていることでしょう。

ガイアナの選挙と石油

The Economist 誌の 3 月 22 日号にガイアナという小国についての社説が載っていました。
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曰く、ガイアナという国は、近年エクソンモービルが80億バレルにも上る埋蔵量を確認した油田のある国で、人口はシアトル程度であるものの、世界トップ20位の原油埋蔵量を誇る国になる見込み。しかし、現政権による選挙不正が行われていると疑われているとのこと。

 

背景には民族の異なる最大野党の存在があるようです。また、現政権が(おそらく)選挙に敗北した原因としては、原油が発見されたことによって見込まれる多くの収入をもとにした多額の支出等を政策の中に盛り込まず、すべて政府ファンドが管理するという方針であったからではないかとみられています。

 

しかし同誌は政権は民意を反映した=選挙を通じたものではなければいけないとしています。最大野党はかつての与党ですが政権を握っていた当時に行った同民族至上主義や汚職と常に縁があったため、現与党よりも良くなるとは見込めないものの、やはり選挙不正はダメであるという姿勢です。

 

出てくる石油でガイアナという小国がラテンアメリカ下位3位の貧しい国家から、一転して富国化することは好ましいことであります。その政権がしっかりしていればエクソンモービルのような巨人も追加投資に積極的になれるはずですので、ぜひ解決してもらいたい問題です。

テキサスと再生エネルギー

The Economist 誌の 3 月 12 日号に少し意外な記事が載っていました。

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テキサス州はもともとエネルギーで有名な州で、過去10年ではシェールオイル/ガスの生産増量でも有名ですが、今では再生可能エネルギー(特に風力発電)にも相当の力を入れているようです。同誌曰く、テキサス州は電力需要の20%を風力発電で賄っており、これは世界の国で五番目の規模にあたる風力発電生産量にもなるとのこと。

 

意外な事実としては、アメリカではテキサスのような共和党が制する州においての方が再生可能エネルギーのブームが続いていることです。共和党地球温暖化問題に懐疑的かつ再生可能エネルギーよりも化石燃料に重きを置く印象が強いだけに、私にとっても意外な事実でした。またアメリカで過去数年で最も伸びている職種の一つが風力発電のタービン整備士であるようです。

 

背景にあるのは政府や州政府の政策ではなく風力発電太陽光発電のコストが下がったことと引き続き電力需要が高いことでしょう。加えて、気候変動に対する追加政策として議論のある炭素税などの導入を見越して、エクソンモービルシェブロンといった大企業が自社の化石燃料からの生産量とオフセットする目的で、資本投資することも予想されているようです。しかしながら右派からの反対が予想されるため、共和党政権化での実現は厳しいように思えます。

日本人のパスポート所有率

The Economist 誌の2月27日号に日本人旅行者数の減少についての記事が載っていました。

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曰く、日本人の旅行者数は全体として増加しているように見えるものの、実際に増加しているのはビジネス(出張)と頻繁に行く人の数が増えただけであり、割合としては逆に減少しているというもので、その根拠に日本人のパスポート所有率がわずか24%であることを挙げています。(この数字も2005年から約3%減少)

 

この理由について同誌は、理解されないことへの恐怖、を最たるものとして挙げています。その他には、少なすぎる有給休暇や安全と食への不安等に言及しています。賃金増加のスピードが遅いことや可処分時間が少ないことも理由であるとみていますが、これは可処分時間も所得もある年金受給者でも同様の傾向があるようです。

 

また海外留学をする学生数も減少しているようです。この理由についても複数触れられていますが、円安も大きな要素でしょう。私のように海外で暮らしている人間は、理解されない恐怖というものに打ち勝たなければ生きていけないので、旅行に対するハードルも低いのではないかと思っています。それでもそもそも計画や手配が面倒だと感じるタイプの人たちにとっては、家でインターネットやゲームをしている方が娯楽としては割がいいのかもしれません。

 

 

中国コロナウイルスの影響

The Economist 誌の1月30日号にコロナウイルスに関する記事が載っていました。

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曰く、中国国内外で武漢出身者への差別が行われているとのこと。無理もない話で、日本でも中国出身者がウイルス感染者とみなされ、世界ではアジア人全体がウイルス感染者とみなされているのが現実です。また、武漢ではタクシーが唯一の公共交通機関となっているようです。運転手は感染を恐れながらも、通常の倍の日給が政府から支払われることから、マスクやゴーグル等の感染対策を行った上で業務にあたっているとのこと。

 

企業はすでに需要高まりつつあり対応を進めていたサプライチェーンから中国を抜く対案を更に前進させ、米中貿易戦争の一旦の休止が見えていた環境を逆進させる形となっています。中国本土と問題を抱えている香港や台湾は積極的にその分離を試みているようにも見えます。中央政府含めた中国政府はインターネット上で広がるフェイクニュース(あるいはリアルニュース)を積極的に検閲・削除しており、また、武漢の新聞のエクスクラメーションマーク以外は信じられないといった声も聞こえています。

 

一方で、各省や国外からボランティアの医者が武漢でウイルス鎮静にあたっているという情報もあり、何も後ろ向きなことだけではないように思えます。