2月8日号の The Economist 誌にトランプ大統領の関税戦略についての記事が載っていた。
トランプ前大統領の関税戦略は、相手国を脅して小さな譲歩を引き出す手法であり、今回もメキシコとカナダに対する25%の関税措置を30日間延期する代わりに、米国の国境警備強化をわずかに前進させた。しかし、彼の貿易攻撃が単なる交渉戦略だと楽観視するのは誤りであり、本格的な関税政策はむしろこれから強化される可能性が高い。
トランプ氏は関税が米国経済に有益だと信じており、中国に対する追加関税やEU・台湾への関税措置も示唆している。彼の目的は、関税を利用して米国に製造業を回帰させることであり、貿易赤字を不当な補助金のように捉えている。また、19世紀の米国が関税収入に依存していた時代を理想視しており、財政赤字を補う手段としても関税を利用する可能性がある。
現在、米国の財政赤字はGDP比6.9%に達し、共和党はトランプ政権下の減税を維持しようとしている。関税が財政赤字対策として活用される場合、恒久的な減税を正当化する手段となる可能性がある。しかし、世界経済への影響は深刻であり、関税引き上げによって米国の貿易相手国は大きな打撃を受ける。歴史的に、1930年代のスムート・ホーリー関税法が世界貿易を破壊した前例もある。
最も懸念されるのは、トランプ氏が市場の反応を大統領の成績表と見なしている点だ。市場が彼の関税脅迫を「ブラフ」と見なして反応しなければ、彼はより大胆に政策を実行する可能性が高まる。その結果、彼は世界貿易を何度も危機に晒し、最終的に深刻な貿易戦争へと突入するリスクが高まっている。