英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

東日本大震災から10年

3月6日号のThe Economist誌の社説は東日本大震災および福島第一原発事故から10年についての記事でした。

www.economist.com

 

東日本大震災による死亡者は約2万人、10万戸以上の世帯で家が失われ、その直接経済損失は2000億ドルと自然災害では過去最大級のものです。しかし世界中の多くの人にとっては、福島第一原発事故の記憶の方が強く残っている状況ですが、死亡者の多くは被爆被害者ではなく、津波被害者であることも事実である、と同誌は話を進めています。

 

原子力発電は CO2 を排出しません。そのため、差し迫った気候変動問題に対処できる現実的な解の一つです。しかし、核のゴミ問題と安全の問題の二つが大きな足かせになって、多くの先進国では原子力発電所廃炉させていく方針を固めています。たとえば日本の原子力規制委員会は政府の思惑よりも厳しい基準で電力会社の原子力発電所へ様々な規制を導入していますが、それがあるべき姿であるというのが同誌の指摘です。個人的には同感で、一度信頼を失ったモノが再度使えるようにするためにはコンサバになりすぎてもいいと思います。ドイツ*1 のように、脱原発で生じた損害を国が保証してもいいかもしれないと思う次第です。

 

民主主義の下では原子力発電所の新設は難しい一方、中国では 16 基が建設中であり更に 39 基の原子力ユニット新設が計画されています。同誌は、気候変動への対処として原子力の安定的で大規模な電力供給を捨てるべきではなく、むしろ福島第一原発事故の教訓が適切に生かされるべき、と主張しています。日本政府も目指すネットゼロ、脱炭素を進める上では重要な手段ですが、ではどこに作るべきなのでしょうか?また、その際には送配電設備が大陸で繋がっているような国々と比較してはいけないと考えます。

*1:補償額はエネルギー大手のバッテンファルが142500万ユーロ、RWE88000万ユーロなど。ドイツは予定通り2022年末までに脱原発を実現する。 ー 出典 独、脱原発で損害補償3100億円: 日本経済新聞