The Economist 誌の12月18日号にソフトバンク上場に関する記事が載っていました。
多くの人が予想できなかった「公募割れ」という結果で終えたソフトバンクの IPO は日本過去最大の IPO となり、アリババの IPO にわずかに届かない約2兆6000億円という巨額の調達を達成しました。同社は日本の携帯事業で第3位であり、国内通信事業は7000億円の部門利益をたたき出しています。
上記の通りソフトバンクの利益の源泉である事業ですが、今後人口減となる日本国内市場は成熟しており、また、楽天が携帯事業参入を表明するなど競争も加わります。また、先日の大規模停電という別の解決するべき問題も抱えている状況でしたが、大々的に行った TV コマーシャルの効果もあってか、無事に調達完了(株主にとっては散々でしょうが)ということです。
孫さんにとっては、IPO から得たキャッシュを VISION ファンドに投入するのでしょうし、ソフトバンク株の低迷の原因となっている(携帯事業のような安定ビジネスを好む)保守的な株主の割引を避けられる契機になるかもしれないでしょう。とはいえ、 VISION ファンドはサウジとの繋がりが深いため、ジャーナリスト殺害の疑惑が晴れない限り、「サウジ色のついた」お金をベンチャー企業が受け入れない可能性もある、という見方もあります。
それでも今回の調達によって、手元に現金を得られることで非常に安心して進められるのではないでしょうか。IPO に運悪く当たってしまった投資家たちにとっては、悲惨な道のりのスタートなのでしょうが。