新年最初の The Economist 誌は1月3日号です。今回は日本の捕鯨に関する記事(社説)が載っていました。
同誌曰く、安倍首相が保守派に配慮した政治的な結果であるとのこと。ロシアとの北方領土問題での妥協や外国人労働者の受入増加によって不満の溜まっている保守派に対して、日本の伝統的な捕鯨を守ることを示すことは都合の良い策であるとの見立てです。筆者は補助金で支えられている捕鯨は徐々になくなっていくべきだ、と〆ています。
日本が IWC (International Whaling Commusion) から 2019 年に脱退する予定であると知れると、日本はオーストラリアをはじめとする世界各国から非難されています。これはアメリカがパリ協定から脱退すると表明した時と同じような状況と言われています。
そもそも(実際問題として南極海での調査捕鯨を継続するだけの資金的余裕もあまりないように見える)日本は IWC から脱退したとしても南極海での捕鯨は行わないと約束しており、オーストラリアとニュージーランドにとっては、ともに中国と対峙する日本との外交的なしこりが取れることになるでしょう。また日本国内でのクジラ肉の需要も少ないのが実態です(同誌は学校給食や老人ホームでの食事にしか使われないだろうとしています)。
面白いなと感じたのは、この社説は伝統的に捕鯨を文化としてきた国々への言及をしていることです。IWC からの脱退は日本の領海での捕鯨(ミンククジラ)を可能にして、ミンククジラに捕食されていた魚の漁獲量も上がることになるでしょう。尤も、IWC の構成国に領海を持たない国が入っていることも相互理解コンセンサスを醸成できない原因であるとも考えられますし、今次的にはそれぞれの国の伝統を重んじる姿勢をもっと強く示すべきだと思います。(捕鯨を非難するオーストラリアでは、カンガルーを食べます)