英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

アメリカの対中国関税はある程度続きそうだ

The Economist 誌の9月22日号の Leaders に、米中貿易関係の記事が載っています。

 

www.economist.com

曰く、米国の新しい対中関税はアメリカの加熱する経済を沈静化させることにはならなそうだ、と。

 

中国の重商主義(中国政府が国営企業補助金を与えて不正な競争を助長していること)に対抗するという正義を持つ米国は、同時に対中貿易赤字を解消したいという別の目的を持っているため、米中貿易戦争を長引かせる理由があります。また、米国はサプライチェーンをの米国回帰を求めている上に、中国を戦略的な競争相手と認識しているため、新関税が中国の経済に悪影響を及ぼす様子を楽しみにしている節もあります。

 

ただ、貿易赤字と米国産業の衰退は同じ問題ではありません。新関税は中国との二国間貿易赤字の解消に一役買うかもしれませんが、全体の貿易赤字の解消には国内の景気後退に向き合う必要があると思います。

生産設備が戻ってきたとしても、オートメーションにより米国国内の雇用数はそれほど増えないでしょう。また、低スキルの仕事はベトナムような低コストの国に向かうでしょう。

 

トランプ大統領のその普段の言動からあまり正しく認識されていませんが、中国側がアンフェアな貿易スキームで戦ってきているので米国側も妥当な対応を取っているように見えます。いずれにしても、中国側も報復関税策を発表しており、(完全に他人事ですが)今後の展開が楽しみです。