英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

COP28 を前に気候変動対策の進捗レビュー

11月23日号の The Economist 誌に気候変動関連 COP28 に際しての記事が載っていました。

www.economist.com

記事の最後にあるのが同誌としての主張であると思われるのですが、ネットゼロ目標を掲げる各国に対して、「Carbon Removal と Emissions Reduction の目標値を分けて出せ」というものです。

 

記事自体は 2015 年からの進捗に目線を当てながら、年次で行われる COP が持つ重要な意義(少なくとも体温チェックの機能を持つし、COP を前に重大な発表をしようというモメンタム形成の役割も果たしている)に触れつつ、進捗ができていない領域、あるいは合意の強制性の欠如に対する問題意識にも触れています。

 

非常に真っ当な主張だと思いますが、現実問題としてグローバルサウスによる経済成長を支えるためには化石燃料に頼らざるを得ない状況や、累積した CO2 排出量の根源である先進国側の態度(この場合は石油ガス会社の CCS による言い訳で利潤追求による排出量増が見えなくなってしまうのではないかとい懸念)には二枚舌を感じてしまいます。

 

スティーブン・ピンカーが『21世紀の啓蒙』で書いていた(と思う)のですが、歴史を見ればエネルギーの普及によって人々の生活はより豊かになっており、その意味で環境問題をどの程度の重要度で見ればよいかというのは各人がしっかり考えなければならないトピックであり、COP28 はその良い試金石になると個人的には考えています。