2月17日号の The Economist 誌社説から、欧州各国に対して NATO からアメリカが撤退したシナリオも見据えた再軍備を促す記事を紹介します。
同誌はアメリカの NATO 撤退を補うものは何もないとしつつも、欧州各国の迅速な再軍備が持つ 3 つの重要な目的を示しています。曰く、その 3 つの目的は、ヨーロッパのウクライナ支援能力とロシア抑止力の強化、トランプ氏に NATO のアメリカにとっての価値を証明、アメリカが同盟国を見捨てた場合のヘッジ、とのこと。
アメリカの支援が不確実な状況の中でヨーロッパが直面する安全保障上の課題に対処するため、迅速な再軍備がいかに重要であるかを強調していますが、それは、地域の安定を保つだけでなく、NATOの価値を再確認し、将来の不確実性に備えるための手段として位置づけられています。
要すれば、トランプ前大統領の方針がめちゃくちゃ効いている、ということではないでしょうか。同誌が言う通りフリーライダーしてきた欧州民主主義の(特に)左派には厳しい現実かもしれず、その対応策が軍拡というのも皮肉的に映るのは私個人だけではないと思います。この件は、数字も雄弁に語ります。
ポーランドとギリシャは地政学的な位置付けからも軍事費拠出の必要がある国で、自分事として捉えていると言えます。一方で、GDP 比で言えばドイツが問題であることは明らかです。
アメリカ大統領選に向けて欧州側でどのような動きがあるのか気になりますし、記事の中でも触れられている「アメリカ抜きでの核の傘の有用性」についてはフランスとイギリスも真剣に考えていかなければならない問題でしょう。ナイーブにバイデン大統領の再選に期待するのも愚の骨頂ですから、同誌の主張は的を射ていると思います。