英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

米国オイルメジャーの動き

1月6日号の The Economist 誌から Exxon と Chevron の最近の動きについての記事がありました。

www.economist.com

 

曰く、Exxon による 645 億ドルでの Pioneer の買収、Chevron による 600 億ドルでの Hess 買収は、両社の石油ガス業界における影響力確保を目指したものであり、次の3つの理由から両社が成功するものと同誌は見ています。

 

1つ目の理由は、生産コストの低い油ガス井戸への集中。2つ目の理由は、(エネルギー地政学ではなく)経済性によって生産量を決められる点。そして、特にヨーロッパのライバルである Shell と bp と比較した際の脱炭素戦略の有効性です。

 

最後に同誌は懸念としてシェール鉱区の予想以上の枯渇、そして地政学リスク、具体的にはベネズエラによるガイアナ侵攻(併合?)を挙げています。ただ、どちらも可能性はあっても蓋然性は低いと思われれますので、現状の Exxon 及び Chevron の企業戦略の見通しは明るいでしょう。

特に、欧州オイルメジャー(特に Shell と bp)が再エネ含む低炭素電源での勝負に出たのに対して、米国オイルメジャーは CCS (Carbon Capture and Storage)技術やクリーン水素製造技術といったコアビジネスである石油ガス技術を活用できる技術に賭けているため、戦略的優位性があると個人的には思います。

 

補足ながら Exxon に至っては新技術による EV 用リチウムの生産開始計画を発表しており、脱炭素のプレッシャーの中で、短期的なキャッシュ獲得手段(シェール鉱区からの生産)及び長期的なキャッシュ獲得手段(ガイアナのような伝統的な鉱区からの生産)も気にしつつ新しいチャレンジも重ねており、今後詳しく見ていきたいです。

www.jetro.go.jp