英国 The Economist 誌を読むブログ

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米国 MBA の価値

今週のThe Economist のトップページに載っていた米国 MBA についての記事がとても興味深い内容でした。

www.economist.com

 

曰く、米国 MBA は欧州 MBA などに代表される 1 年制 MBA の勃興に伴って、HBS も Stanford も入学希望者数(特に海外からの留学生)が減少傾向にあるとのこと。確かに米国 MBA を卒業後に米国(あるいは米国企業)で働く希望を持っていない受験者が、高価な授業料と生活費を要する 2 年制の米国 MBA よりも、次に働く場所に近い欧州あるいはアジア MBA を選択することは合理的に見えます。

 

また、キャリアを犠牲にすることなく MBA 資格を取得できるオンライン MBA コースを提供する大学が増えてきたことも米国 MBA 受験者数の減少の理由とも言えるでしょう。米国側も授業料高騰問題は学卒含めた奨学ローン問題として社会問題化しており、資金援助について構造的な問題解決に向けた検討がなされている(ようです)。たとえば、職に就いてからの返済を認めるケースもあるらしい(が、まだまだメインストリームではなさそうです)。

 

教える内容も変化しつつあるようです。従来の Finance 101 から持続可能な資本主義とは何か?のような欧州 MBA 特有の哲学的な問いを必修科目に設定する大学もあれば、コーディングやデータアナリティクスを必須科目に設定する大学もあるとのこと。これらは変化の途上にあるようです。

 

個人的には、留学することの魅力はあるもののビジネススクール特有の「パリピ」感がどうも好きになれず、また大企業での雇われ能力を示すために MBA が必要という意見には 100% 同意するものの、高学歴だけど使えない人間が日本だけでなく世界中にいることに鑑み、やはりまずは経験を積める場所を今いる場所で探す、という選択肢を優先させたいと整理しました。人生100年時代に雇われ能力を示すという意味では、トップ MBA が娯楽的に提供している「EMBA」を15年後くらいに取れればいいと考えています。