英国 The Economist 誌を読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economist を読んだ感想を書きます

中国産新型コロナウィルス

The Economist 誌の 1 月 30 日号に中国武漢で発生した新型コロナウィルスについての社説が載っています。

www.economist.com

 

記事を読んで三点気になることがあります。

 

一つ目に、記事が出ている時点での情報をもとに考えれば、科学者たちは非常に良い仕事をしている一方で中国(や武漢)の政治家はそれほど上手くやれていないというイメージを植え付けている点です。特に、武漢では即座に隔離政策を取ったように見えつつも実際には約100万人もの感染可能性のある人々を省外に出してしまっていることが問題に見えます。が、感染した可能性のある人々を救出しにチャーター便を飛ばした全ての国に同じことが言えるような気もします。

 

二つ目に、新型コロナウィルスの爆発的な広がりに対しては脅威を感じるべきであるものの、インフルエンザのような身近なウイルスによっての死亡者数についてもきちんと理解するべきであるということです。同誌によれば、二年前のアメリカでは6万人以上がインフルエンザによって死亡しています。もちろんこの数字と現在の死亡者数をアップルアップルで比較することは適切ではありません。最終的な数字については、数か月後に詳細に語られるのを待たなければいけません。

 

三つ目に、最後の段落において気候変動の影響で新型ウイルスが出てくるような示唆を行っていることです。人とウイルスの戦いの歴史について勉強していないので態度を保留しますが、気候変動とは独立して人とウィルスは戦っているのではないかと思っています。そのため、レトリックが単なる論点の混合のように見えて、モヤモヤした状態で締めくくられてしまっています。