英国 The Economist 誌を読むブログ

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年初の原油市場 - イラン・アメリカ戦争回避と米中貿易戦争回避

The Economist 誌の1月16日号に原油市場に関する記事が載っていました。

www.economist.com

 

曰く、供給面でのリスクの顕在化が継続しているとのこと。中東情勢の不安定さによって、石油生産関連設備への攻撃は現実的リスクとして認識されている。また、イランとアメリカの二国間関係の悪化に伴って、OPEC石油生産量2位となっているイラクが急遽生産量を落とさざるを得ない状況となるリスクも認識されています。

 

良いニュースは、サウジアラビアの生産量が昨年9月の生産設備への攻撃から順調に回復していることです。一方で、アメリカ、ブラジル、ノルウェーからの供給が見込まれており、中東でのリスクの高まりに対して、原油市場の反応は穏やかになるとの見方もあります。とはいえ、今年の原油市場も中東中心になるのでしょうが。

 

同誌は米国トランプ大統領が中東原油生産に対する影響力行使に無関心であることに触れています。彼はカータードクトリンに固執つもりはない、というのが同誌の見立てであり、シェールオイルによって生産大国となったアメリカから見れば優先順位の変更があったとみるのが自然でしょう。